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本取組の背景と動機

平成17年4月に府立の3大学を統合し発足した公立大学法人大阪府立大学では、基礎・教養教育を担当する部局として、総合教育研究機構(以下、「機構」と略記する)を創設した。

機構において数学科目を担当する数学グループでは、全学の1年次の数学科目を担当している。多くの大学で初年次に開設されている数学科目(おもに、線形代数と微積分学)について学ぶ科目は理系学部の基礎科目としてカリキュラム上重要な役割を担っている。また、近年では経済学部はもとより社会科学系の学部でもその重要性は高まっている。

しかし、その数学科目の教育内容・方法については大学設置基準が作成されて以降あまり変わっておらず、1991年の大学設置基準の大綱化以降は、多くの大学で教養部が解体され、理系学部(おもに理学部)の数学者が学科・専攻と掛け持つ形での教育となり、その教育に掛けられる時間は減り、責任も曖昧になる傾向がある。また、数学科で数学者になるための数学科目の授業内容・方法は確立されているが、理系一般の学生にどう数学科目を教えるかということについては確立したものがない状況である。更に、近年の18歳人口の減少、高等学校の指導要領の改定による授業時間数と内容の削減などで、学力が定着していない学生への対応が必要であるとともに、能動的な学習習慣が身についていないことにも問題がある。

このような状況下で、1年次の数学教育がそれまでの教育内容・方法では学生に大学生としての数学の能力を涵養することが困難になっている。機構の数学グループでは上記のような数学教育の状況に対応するために、本取組を開始した。

大学のユニバーサル化の影響

数学教育特有の構造的問題