中国語旅行会話の補充教材について

このブログには清原文代・顧春芳『大阪府立大学中国語ポッドキャスト旅行会話編』の補充教材があります。単語の訳や基本的な文法事項については、本編のポッドキャストで配信中のPDF教材をご覧下さい。PDF教材は『大阪府立大学中国語ポッドキャスト旅行会話編』を講読すれば、ダウンロードできます(無料)。ポッドキャストの講読方法については『大阪府立大学中国語ポッドキャスト旅行会話編』のホームページをご覧ください。
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第30回補足:使役と受け身

第30回では使役の表現が出てきました。
使役は以下のような構文になります(詳しくはプリントをご覧下さい)。
A+“叫”jiào+B+動作行為(AはBに〜させる)
A+“让”ràng+B+動作行為(AはBに〜させる)
(例)公司叫我去美国出差。
Gōngsī jiào wǒ qù Měiguó chūchāi.
(会社は私にアメリカに出張に行かせる→会社の命令でアメリカに出張する)
(例)公司让我去美国出差。
Gōngsī ràng wǒ qù Měiguó chūchāi.
(会社は私にアメリカに出張に行かせる→会社の命令でアメリカに出張する)

実はこの“叫”“让”、受け身の構文にも使うのです。
但し、受け身の構文はこのポッドキャスト教材『大阪府立大学中国語ポッドキャスト旅行会話編』には出てきませんでした。なるべく初級文法の項目を網羅するように努力したのですが、この教材は場面優先のため、入れられなかったものがいくつかあるのです。そのうちの一つです。

A+“叫”jiào+B+動作行為(AはBに〜される)
A+“让”ràng+B+動作行為(AはBに〜される)
(例)电脑叫我弄坏了。
Diànbǎo jiào wǒ nònghuài le.
(パソコンは私に壊されました→私のせいでパソコンが壊れました)
(例)电脑让我弄坏了。
Diànbǎo ràng wǒ nònghuài le.
(パソコンは私に壊されました→私のせいでパソコンが壊れました)

使役と受け身、“叫”“让”という同じ単語を使っても、上の例文を見ていただければわかるように使役と受け身が紛れることは普通はありません。

なお、受け身専用の言い方もあります。“被”bèiは受け身専用です。
(例)电脑被我弄坏了。
Diànbǎo bèi wǒ nònghuài le.
(パソコンは私に壊されました→私のせいでパソコンが壊れました)

“叫”“让”による受け身の構文は誰がやったかという部分が必ず必要ですが、“被”bèiは誰がやったかという部分を省略することができます。
(例)电脑被弄坏了。
Diànbǎo bèi nònghuài le.
(パソコンが壊されました)
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第29回補足:中国語がお上手ですねと言われて

今回の課文では中国語がうまいですねと誉められるシーンが出てきます。
私が学生だった頃、
你中文说得很好。
Nǐ Zhōngwén shuōde hěn hǎo.
とか
你中文说得真不错。
Nǐ Zhōngwén shuōde zhēn bú cuò.
“不错”(なかなか良い)
と誉められると初めは素直に喜んでいました。
中国の方は大概誉め上手ですし、当時はまだ今ほど中国語を話す外国人が多くなく、外国人が少しでも中国語をしゃべると喜んでもらえたということもあります。ただ、何度も言われているうちに、だんだんひねくれて来ました。当時の私はまだ若くて無謀でしたから、中国人に対しては中国語がうまいですねとは言わないだろう。ということは私はちょっと話せばすぐ外国人だとわかる中国語しか話していないのだ。もっとうまくなっていつか「中国語が上手ですね」と言われないようになろうと決心しました。
さて時は流れて、私の年齢や職業のせいもあり、今は昔ほどは「上手ですね」は言われなくなりましたが、残念ながら皆無ではありません。中国語やはり未だに私にとって外国語です。

課文にあるように
你学了几年了?
Nǐ xuéle jǐ nián le?
(あなたは何年勉強していますか)
と聞かれると、答えに詰まります。正直に答えると驚かれてしまうからです。私の感覚では18歳で大学に合格してから今までずっと学習中ですから。私の中国語は木に竹を接いだようなもので、私は中国語を教える教員であると同時に、一生中国語を学ぶ学生なのです。
活到老学到老
xuédào lǎo huódào lǎo
(生きて年をとる、学んで年をとる、一生勉強)
“活”は「生きる」という意味。

私は中国人の先生のように中国語は使えませんが、皆さんより先に中国語という門をくぐり、中国語という道で迷い、転び、また起き上がって歩いています。そこから得たものをこのポッドキャスト教材を通じて後から来る皆さんにお伝えできればと願っています。

このポッドキャスト教材をお使いの方はどんな方がいらっしゃるのでしょうか?

もし中学生・高校生がいるのなら、“后生可畏”hòu shēng kě wèi(後生畏るべし、「こうせいおそるべし」と読みます。意味がわからなかったら国語辞典を引いてみてください)です。がんばってくださいね。ただ日本語の能力を高めることもお忘れなく。外国語である中国語の語彙力が母語である日本語の語彙力を超えることはありえないので、日本語の能力が低いとそれだけ中国語の伸びしろが小さくなってしまいます。

大学生の皆さん、皆さんは今外国語を学ぶための“黄金季节”huángjīn jìjié(黄金期)にいます。大学生くらいになると大人の母語としての日本語がほぼ完成していて、なお且つ十分に若く記憶力や耳も良いです。時間もあります。大学の時にがんばれば外国語を一つマスターすることは可能です。ぜひこの恵まれた時間を有効に使ってください。

働いておられる方、主婦&主夫の方、学生時代と違って自分のためだけの時間を作るのがさぞかしたいへんでしょう。“一寸光阴一寸金”yí cùn guāngyīn yí cùn jīn(一寸の光陰は一寸の金に等しい、時は金なり)という言葉を身を以て知っておられることと思います。学生さんに比べれば時間の面では不利ですが、その分は集中力でカバーです。そしてちょっとした隙間の時間を有効に活用していただければと思います。そのためにこのポッドキャスト教材がお役に立てばうれしいです。1回分で2分弱ですから。
『大阪府立大学中国語ポッドキャスト旅行会話編』についてはこちらへ。

リタイアされた方、記憶力や耳の良さという点では若い人に比べてハンディがあるかもしれませんが、その分知識や経験が豊富で、物事と物事を結びつける力は若い人よりあるのではないでしょうか。中国語には“举一反三”jǔ yī fǎn sān(四角の一つの角のことを言えば、他の三つの角のことを類推してわかる、一つのことから類推して多くのことを知る)という成語があります。こういう類推能力は経験を積めば積むほど伸びていきます。母語の日本語だってわからない言葉にぶつかることはあります。ましてや中国語は外国語です。そんな時にこの能力は大いに力を発揮すると思います。

ということで、言いたいことは、
大家一起学中文!
Dàjiā yìqǐ xué Zhōngwén!
(みんないっしょに中国語を勉強しましょう!)
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第28回補足:趣味は健康的に、音楽に関する言葉

第28回は趣味というテーマでした。
中国語の“爱好”àihàoと、日本語の「趣味」には若干の意味のずれがあります。日本語の趣味は煎じ詰めれば「好きでよくすること」という意味合いだろうと思いますが、、中国語の“爱好”は文化的な活動やスポーツなどの健康的な活動に限られるようです。酒・タバコ・ばくちといった不健康なものや、眠ることなど特に意図的に取り組む必要のない行為は、“爱好”とは言いません。

課文の中では趣味として音楽を聴くことが挙げられていましたが、聴くだけではなく自分で歌うのも好きという方もおられるでしょう。歌を歌うことは“唱歌”chàng gēと言います。
歌を歌うと言えば、日本発の文化であるカラオケは“卡拉OK”kǎlā OKと言います。発音からおわかりのように日本語のカラオケを音訳したものです。「カラオケをする」は“唱卡拉OK”chàng kǎlā OKと言います。

楽器の演奏がお好きな方もおられるでしょう。
弹钢琴tán gāngqín(ピアノを弾く)
弹吉他tán jítā(ギターを弾く)
拉提琴lā tíqín(バイオリンを弾く)
拉二胡lā èrhú(二胡を弾く)
“提琴”はバイオリン・ビオラ・チェロ・コントラバスの総称としても使います。
“二胡”は胡弓の一種で2本の弦を弓で弾きます。
日本語では弦楽器は一律に「弾く」と言いますが、中国語では動詞を使い分けています。“弹”は指ではじく動作を指します。ピアノやギターを弾くときの指の動きをそのようにとらえているのですね。“拉”は引っぱるという意味です。こちらは弓で弦を弾くときの動作に着目しています。

吹长笛 chuī chángdí(フルートを吹く)
吹小号 chuī xiǎohào(トランペットを吹く)

打鼓dǎ gǔ(ドラムをたたく)
击鼓jī gǔ(ドラムをたたく)

それから、課文の中では「〜するのが好き」という言い方がポイントの一つになっていました。
我喜欢听音乐。
Wǒ xǐhuan tīng yīnyuè.
(私は音楽を聴くのが好きです)
この構文を使って語彙を増やす練習をしてみましょう。
“听音乐”tīng yīnyuè(音楽を聴く)の部分を以下のフレーズと入れ替えて言ってみてください。
看书kàn shū(本を読む)
看小说kàn xiǎoshuō(小説を読む)
看电影kàn diànyǐng(映画を見る)
画画儿huà huàr(絵を描く)
集邮jíyóu(切手を集める)
下棋xiàqí(将棋や囲碁をする)
下象棋xià xiàngqí(将棋をする)
下围棋xià wéiqí(囲碁をする)
打球dǎqiú(球技をする)
打篮球dǎ lánqiú(バスケットボールをする)
打乒乓球dǎ pīngpāngqiú(卓球をする)
打网球dǎ wǎngqiú(テニスをする)
打高尔夫球dǎ gāo'ěrfūqiú(ゴルフをする)
打棒球dǎ bàngqiú(野球をする)
踢足球tī zúqiú(サッカーをする)
#中国の“象棋”(将棋)は日本の将棋と駒や盤、ルールが異なります。日本の将棋と言いたければ“日本象棋”Rìběn xiàngqíと言えばよいでしょう。ちなみにチェスのことは“国际象棋”guójì xiàngqíと言います。
中国では“下棋”(囲碁や将棋をする)はスポーツの一種と考えられていて、新聞でも“体育”tǐyùのコーナーに載っています。頭も身のうち、頭を使ったスポーツというわけです。
#日本語では野球もサッカーも「する」ですが、中国語では使い分けています。“踢足球”“踢”は「ける」という意味です。
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第27回補足:お呼ばれ

この教材は1回1回が独立した話になっています。それはiPodやiTunesでシャッフルモードで聞くことを想定しているからです。第1回から順番通りに聞くのもいいですが、時にはシャッフルして聞くと、新鮮な気分で学習できるのではないかと思います。

各回が独立した内容になっているとはいえ、第1回からお聞きに方は、そこはかとなく話のつながりがあるのにお気づきでしょう。第27回の教材では「昨日どこへ行きましたか」のようなおしゃべりをしていますが、第25回、第26回の続きという風にこの回をとらえると、さしずめこの回はお呼ばれしたうちでのお昼ご飯をいただきながらのおしゃべりということになりますでしょうか。

食事時にかかるような時間に人に会うということは、まずまちがいなく誘った方が食事を出してくれます。外で食事時に会う場合も誘った方がおごります。最近では若い人の間では“AA制”AA zhì(割り勘)もあるようですが、中国では誘った方が“请客”qǐngkè(おごる)のが当然です。「今日は私が誘ったから私のおごり」「じゃあこんどは私がおごるわね」となれば次にまた会う機会ができる、そうやって人間関係は続いていくと中国の人々は考えているのでしょう。それをその場で割り勘にしてしまうと、そこで関係がとぎれてしまうような冷たい感じがするのだと思います。

家に招いた場合も、レストランでおごる場合も、それこそ食べきれないような量の料理が出るのが普通です。それが招いた側、誘った側の礼儀でありメンツですから、料理は残るのが当たり前なのです。

これにまつわる日中間の悲喜劇はあちらこちらですでに書かれていますので、みなさんご存知でしょう。中国側は張り切ってたくさん料理を準備する。日本側は残したら失礼かと思って必死で食べる。中国側は料理が残り少なくなったので、慌てて追加する。日本側はまた必死で食べる……すると中国側は……

逆に言えば、日本側が招待する時にちょうど食べきれるような量を出すと、招待したこちらの気持ちが伝わらないばかりか、相手を軽んじていると誤解されかねません。また日本料理では冷たいものもメインディッシュになりますが、中国ではメインディッシュは必ず温かい料理を出します。冷たい料理は前菜という認識ですので、料理を出す時にはご注意を。

“中国菜”Zhōngguó cài(中国料理)は大皿に盛られて出てきて、それを自分の“筷子”kuàizi(お箸)で取り皿にとります。“公共筷”gōnggòng kuài(取り箸)という単語もあるのですが、実際には常に用意されているものではないようです。
日本ではあまり見かけない習慣として、招いた側が自分のお箸で料理を取って、客の取り皿に入れるというのがあります。気がつくと取ってくれた料理で自分の取り皿がいっぱいになっていたりします。これは主人の客への歓待の気持ちを表しています。盛られたもののうち食べたいものだけ食べればよいのです。でもどうしてもこの習慣になじめないのでしたら、“谢谢,我自己来。”Xièxie, wǒ zìjǐ lái.(ありがとう、じぶんで取りますから)という手もあるでしょう。

お呼ばれにはお酒はつきものです。これもよく言われていることですが、中国で“干杯”gānbēi(乾杯)と言えば、文字通り「杯を飲み干す」ことで、日本のように一口つけて後は置いておく、或いは後でちびちび飲むということはしません。しかし、中国式の“干杯”を続けていると身体が持ちませんし、中国でもお酒は大いに楽しく飲むべきものですが、酔いつぶれて人前で醜態をさらしてしまうことに対しては日本ほど寛容ではないと思います。“干杯”が無理だなと思ったら、“随意”suíyì(好きなだけ)と言ってグラスを挙げましょう。飲み干さずに残すこともありますよという言い方です。などと偉そうに書いていますが、“我不会喝酒。”Wǒ bú huì hē jiǔ.(私はお酒を飲めません=私は下戸です)。
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第26回補足:プレゼント、縁起担ぎ

第26回はプレゼントを渡すシーンでした。中国の方にプレゼントを渡した時、1回ですんなり受け取ってもらえることはまずありません。遠慮して受け取らないことが普通ですし、それが礼儀と言っても過言ではないでしょう。そこであきらめないでがんばってプレゼントを渡してください。今回の教材でも(わざわざあなたのために)「日本から持って来たんです」といってはじめて相手も納得して受け取っています。

日本では客の持ってきたお菓子などをその場で開けて一緒に食べたりすることもありますが、中国では受け取ったプレゼントをその場ですぐに開けることは普通はしません。贈り主が帰ってから開けます。その場でプレゼントを開けて喜ばないからと言って、残念に思わないでくださいね。

日本ではお祝いの品として掛け時計や置き時計を贈ることがありますが、それは中国では考えものです。
掛け時計は“挂钟”guàzhōng、置き時計は“座钟”zuòzhōngと言いますが、“送钟”sòng zhōng(置き時計や掛け時計をプレゼントする)の発音が、“送终”sòngzhōng(死に目にあう、死に水を取る)に通じるからです。でも腕時計は問題ありません。腕時計は“手表”shǒubiǎoと言うからです。

こういった“谐音”xiéyīn(発音が同じ或いは近いこと)による縁起担ぎというのはいろいろあります。プレゼントの話からははずれますが、少し紹介しましょう。

例えば、コウモリは日本では不吉な感じのする生き物と思われていますが、中国では縁起の良い図案に使われます。コウモリのことを“蝙蝠”biānfúと言いますが、“蝠”の発音が“福”に通じるからです。

また、“发菜”fàcàiという藻の一種があります。見た目が“头发”tóufa(髪の毛)に似ているのでそう言います。“汤”tāng(スープ)の具にして食べることが多いのですが、味は何ということはありません。しかし、“发菜”fàcàiの発音が、“发财”fācái(お金がもうかる)の発音に近いので、縁起が良い食べ物とされます。

【注】
上の例の中に出てくる“发”の字には2つの発音があります。簡体字を作る時に別の字だったものを1字に統一したのです。元の字が“發”(日本語の漢字で書くと「発」)の時は、元の字が“髪”の時はと発音します。

但し、複数の発音がある字が全てこうだというわけでは決してありません。1つの字が元々複数の発音を持っていることがあるのです。発音が違えば同じ字でも意味が異なります。
(例)快乐kuàilè(楽しい)と音乐yīnyuè(音楽)。
“乐”という字で、元々1つの字に2つの発音があるのです。
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第25回補足:待ち合わせに関する表現

第25回は人を家に招待するシーンでした。
人を誘う時にはまずは相手の都合を確かめますね?
明天你有空吗?
Míngtiān nǐ yǒu kòng ma?
(明日あなたは暇がありますか)
“空”(暇)の代わりに“时间”(時間)を入れて言うこともできます。
明天你有时间吗?
Míngtiān nǐ yǒu shíjiān ma?
(明日あなたは時間がありますか)

課文では無事OKということになっていましたが、都合が悪くて断らなくてはならないときには
对不起,我明天有事儿。
Duìbuqǐ, wǒ míngtiān yǒu shìr.
(すみません、私は明日用事があります)
「用事がある」という部分をもう少し具体的に言うには、
我有工作。(仕事があります)
Wǒ yǒu gōngzuò.
我有约会。(人と会う約束があります)
Wǒ yǒu yuēhuì.
我有课。(授業があります)
Wǒ yǒu kè.
などがあります。
こう答えると、
那,后天怎么样?
Nà, hòutiān zěnmeyàng?
(じゃあ、あさってはどうですか)
と違う日を提案されるかもしれません。

時にはとにかく忙しくてしばらく時間が取れそうにもないときがあります。そういう時は、
真对不起!我最近太忙了,实在没有时间。
Zhēn duìbuqǐ! Wǒ zuìjìn tài máng le, shízài méi yǒu shíjiān.
(本当にすみません。私は最近たいへん忙しくて、本当に時間がないんです)
と答えるとよいかと思います。

私はどうやらこういう否定的な場面を紹介したがる癖があるようです。私の性格のせいもあるでしょうが、物事がうまく行っている時というのは極端な場合ニコニコ笑ってうなずいているだけでもよいかもしれませんが、真に言葉が必要なのは否定的な場面ではないか?と思うからです。

なお、今ちょっと時間を取って欲しいので、相手の都合を聞きたい時は、
你现在方便吗?(今よろしいですか)
Nǐ xiànzài fāngbiàn ma?
と言います。“方便”は「都合がよい、便利」という意味です。

さて、待ち合わせに話を戻しますと、課文には待ち合わせの時間と場所を提案する言い方として、
<時間>++<場所>+等我,好吗?
(<時間>に<場所>で私を待っていてくれますか)
という表現が出てきましたが、
<時間>++<場所>+见,怎么样?
(<時間>に<場所>で会うのはどうですか)
という表現もあります。
(例)晚上七点在饭店门口见,怎么样?
  Wǎnshang qī diǎn zài fàndiàn ménkǒu jiàn, zěnmeyàng?
 (夜7時にホテルの入り口で会うのはどうですか)

別の待ち合わせの時間や場所を提案したければ、
<時間>,怎么样?
(例)八点,怎么样?(8時はどうですか)
  Bā diǎn, zěnmeyàng?
+<場所>,怎么样?
(例)在车站,怎么样?(駅でどうですか)
  Zài chēzhàn, zěnmeyàng?
と提案するとよいでしょう。

無事、待ち合わせの相談がまとまりました。
その時には、
好,不见不散!
Hǎo, bú jiàn bú sàn.
と言います。
“好”は承諾の返事(わかりました)という意味です。“好”の代わりに“行”xíng(OK、だいじょうぶ)と言ったりもします。
“不见不散”は人と会う約束をした時の決まり文句で、直訳すると「会うまで(その場を)離れない」=「きっと来てね」くらいの意味です。

待ち合わせ当日、もし遅れてしまった場合は、
对不起,我来晚了。
Duìbuqǐ, wǒ láiwǎn le.
(すみません、遅れました)
と謝ります。
最近中国は経済の発展に伴い、交通渋滞が激しくなっていますから、
对不起,路上堵车,我来晚了。
Duìbuqǐ, lùshàng dǔchē, wǒ láiwǎn le.
(すみません、道が渋滞していて、遅れました)
ということもあるでしょうね。

渋滞くらい見込んで早く出かければいいのにと思うかもしれませんが、
路上出了车祸,堵车了。
Lùshàng chūle chēhuò, dǔchē le.
(交通事故が起こって、渋滞してしまった)
のかもしれませんし、その他何か突発的な事態が発生したのかもしれません。

最近の日本では何事も自己責任という言葉で片付けられてしまう傾向があるようですが、世の中の出来事を全て自分がコントロールできるはずもなく、自分ではどうしようもないこともあります。そういう時に相手の説明を聞いてあげる余裕、説明がきちんとあれば相手を許す余裕が欲しいものですね。これは自戒を込めて言っていますけれども。
こういう自分ではどうしようもない出来事に対する寛容さは中国の方があるように思います。あくまで私の印象ですが。
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第24回補足:病院に関する言葉

第24回は病院で診察を受けるシーンでした。
病院や病気に関連する表現を補充しておきます。

医院yīyuàn(病院)
#日本語では入院施設のある比較的大きな規模のものを病院、入院施設がなくて外来診療だけのものを医院と言い分けますが、中国語では病院のことを“医院”と言います。外来診察しかしないような規模の小さな所は“诊所”zhěnsuǒ、あるいは“门诊”ménzhěnと言います。

住院zhùyuàn(入院する)
#大きな病院で“住院部”zhùyuàn bùと書いてあれば、入院患者用の病棟です。“门诊部”ménzhěn bùと書いてあれば、外来診察用の病棟です。

医生yīshēng(医者)
#医者専用の呼称に“大夫”dàifuがあります。
(例)王大夫(医者の王先生、ドクター王)

护士hùshi(看護師)

我要看病 。(診察を受けたいです)
Wǒ yào kànbìng.
#患者が診察を受けることも、医者が診察することも“看病”と言います。

(病院の窓口で)
我要挂号 。(診察を申し込みたいです)
Wǒ yào guàhào.
“挂号”には書留にするという意味もあります。それについて詳しくは第23回のプリントを参照してください。

私は保険会社の回し者ではありませんが、中国に行くときに限らず海外に行くときは万が一病気になった時のために海外旅行保険をかけていくことをお勧めします。日本では健康保険制度が普及しているので、ちょっとした病気くらいでは医療費の高さを意識することはありませんが、海外ではそうではありません。
中国ではまだ健康保険制度が普及していないので、治療を始める前に治療費の前払いを求められることがあります。そんな時海外旅行保険に入っていると、前払いなしで診察してくれたり、日本語を話せる医者のいる病院を紹介してくれたりします。
診察を申し込む際には保険に入っていると伝えるとよいと思います。
我参加了保险。(私は保険に入っています)
Wǒ cānjiāle bǎoxiǎn.

打针dǎzhēn(注射を打つ)

吃药chī yào(薬を飲む)
#薬の飲み方の指示の例
每天三次,每次两片,饭后半小时服用。
měitiān sān cì, měi cì liǎng piàn, fàn hòu bàn xiǎoshí fúyòng.
(毎日3回、毎回2錠、食後30分に服用)

动手术dòng shǒushù(手術をする)
做手术zuò shǒushù(手術をする)

祝你早日康复。(一日も早いご快復をお祈りします)
Zhù nǐ zǎorì kāngfù.
“祝”は「祈る、願う」という意味です。
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第23回補足:郵便に関する言葉

第23回は郵便局のシーンでした。郵便に関する言葉を紹介しておきましょう。

邮局yóujú(郵便局)
(郵送する)
xìn(手紙)
明信片míngxìnpiàn(はがき)
航空信hángkōngxìn(エアメール)
平信píngxìn(普通郵便)
挂号信guàhàoxìn(書留郵便)
快件kuàijiàn(速達)
特快专递tèkuài zhuāndì(EMS)

所変われば品変わる、中国の“邮筒”yóutǒng(郵便ポスト)は赤ではなく深緑色です。

また“信封”xìnfēng(封筒)の表書きの仕方も少し異なります。
横書きの封筒が一般的で、左上の角に“邮政编码”yóuzhèng biānmǎ(郵便番号)を書く欄があります。
真ん中にはまず“收信人”shōuxìnrén(手紙を受け取る人)の“地址”dìzhǐ(住所)を書きます。住所を書く順番は日本と同じで大きな地名→小さな地名です。
住所の次の行は手紙を受け取る人の名前ですが、日本語の「〜様」に当たるのは言葉は“收”shōuです。親しい相手なら敬称無しで“收”を名前につければよいですが、目上の人や取引先の人の場合は敬称や肩書きをつけてから“收”をつけるとよいでしょう。
(例)李志华先生收
“先生”xiānshengは主に男性一般に使う敬称です。必ずしも教師とは限りません。女性用としては“女士”nǚshìがあります。
(例)李志华教授收
#相手が“副教授”fù jiàoshòu(准教授・助教授)であっても、普通は“副”はつけないでおきます。この例に限らず“副××”という肩書きの人はそうします。
(例)李志华经理收
“经理”jīnglǐは社長という意味です。経理をしている人ではありませんのでご注意を。

次に“寄信人”jìxìnrén(手紙を送る人)の住所・氏名・郵便番号を書きますが、日本では封筒の「裏」に書くのが普通ですが、中国では封筒の「表」の右下の部分に少し小さめの字で書きます。
手紙を送る人の名前の後に“寄”(郵送する)や“缄”jiān(封をする)という字を添えます。
(例)田中一郎寄
(例)田中一郎缄
封筒の裏に送り手の名前や住所を書いたものも見たこともありますが、その場合は私の印象では日本と違って封筒のフタの部分に書いていることが多かったように思います。

“邮票”yóupiào(切手)は封筒の表の右上の角に貼ります。

包裹bāoguǒ(小包)
海运hǎiyùn(船便)
小包の場合は
你寄航空,还是寄海运?
Nǐ jì hángkōng, háishi jì hǎiyùn?
(航空便で送りますか、それとも船便で送りますか)
と聞かれます。

日本だと小包の中身を詳しく聞かれたり見られたりすることはまずありませんが、中国ではチェックされますので、封をせずに持って行きます。梱包用の資材は郵便局で売っています。

以前私が中国でたくさんCDやDVDを買って日本へ送ろうとしたらひっかかってしまったことがあります。CDやDVDを買った時のきちんとした“发票”fāpiào(領収書)がないと送れない、“小票”xiǎopiào(レシート)ではだめだと言われました。恐らく海賊版の輸出を警戒した措置ではないでしょうか。

また日本と違って小包は自分で郵便局に取りに行きます。自分に小包が届いたという通知だけがまず先に来て、通知に指定された近くの郵便局に“身份证”shēnfènzhèng(身分証明書)を持って小包を取りに行きます。外国人の場合は“护照”hùzhào(パスポート)や“居留证”jūliúzhèng(滞在許可証)が身分証明になります。小包を受け取りに行くことは“取包裹”qǔ bāoguǒと言います。

あと日本と違っていておもしろいなと思ったのは、新聞や雑誌の定期購読の申し込みを郵便局が受け付けていることです。新聞を定期購読することは“订报纸”dìng bàozhǐ、雑誌を定期購読することは“订杂志”dìng zázhìと言います。
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第22回補足:距離や所要時間の尋ね方

第22回は道を尋ねるシーンでした。道を尋ねる時に役立ちそうな表現については、昨年度配信したポッドキャスト教材も参考にしてください。
大阪府立大学中国語講座——憶えておきたい100の表現
この教材の64番・67番・72番から79番までがそうです。

iTunesをインストール済みの方は、以下のリンクをクリックすると2006年度配信のポッドキャストを登録するための画面が開きます(画面が開くまでに少し時間がかかることがあります)。
大阪府立大学中国語講座——憶えておきたい100の表現」をiTunesに登録する
2006年度のポッドキャストの受信の仕方など詳しくは
大阪府立大学初修外国語Podcastホームページ
をご覧下さい。

道を尋ねる時には道順以外にどれくらい距離があるか尋ねたいこともありますね。

离这儿有多远?(ここからどれくらいの距離ですか)
Lí zhèr yǒu duō yuǎn?

答えとしては具体的な距離、例えば
大概×公里吧。(だいたい×キロメートルくらいでしょう)
Dàgài × gōnglǐ ba.
などという答えがかえってくることもあるでしょうし、
走路×分钟。(歩いて×分です)
Zǒulù × fēnzhōng.
のように、行き方と所要時間で答えが返ってくることもあります。
#×のところには数字が入ります。

道を尋ねる時に限らず、何かの所要時間を聞きたい時には
要多长时间?(どれくらい時間がかかりますか)
Yào duō cháng shíjiān?
と聞きます。
この場合、答えの単位はいろいろありえます。
(例)两分钟liǎng fēnzhōng(2分間)
(例)两个小时liǎng ge xiǎoshí(2時間)
(例)两天liǎng tiān(2日間)
(例)两个星期liǎng ge xīngqī(2週間)
(例)两个月liǎng ge yuè(2ヶ月)
(例)两年liǎng nián(2年)

特定の時間の単位で尋ねたいときは以下のような言い方があります。
要几分钟?(何分間かかりますか)
Yào jǐ fēnzhōng?
要几个小时?(何時間かかりますか)
Yào jǐ ge xiǎoshí?
要几天?(何日間かかりますか)
Yào jǐ tiān?
要几个星期?(何週間かかりますか)
Yào jǐ ge xīngqī?
要几个月?(何ヶ月かかりますか)
Yào jǐ ge yuè?
要几年?(何年間かかりますか)
Yào jǐ nián?

2点間の距離や所要時間を尋ねたい時は、前置詞の“从”“到”を使います。
#XとYのところに自分の知りたい2点を入れます。

从X到Y有多远?(XからYまでどれくらいの距離ですか)
Cóng X dào Y yǒu duō yuǎn?

从X到Y要多长时间?(XからYまでどれくらい時間がかかりますか)
Cóng X dào Y yào duō cháng shíjiān?
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