第21回補足:タクシーについて

第21回はバスの中で降りる場所を教えてくれるように頼むシーンでした。中国のバスにも案内放送や次のバス停を示す電光表示を備えたものがないわけではありませんが、バスというのは基本的には地元の人のための交通機関ですので、全てのバスにそういったものが完備されている状態には今のところなっていません。ただ中国社会の変化は近年非常に速いので、この記事もいつ時代遅れになるかわかりませんが。

中国語があまり得意ではない旅行者にとって便利な交通機関としてはタクシーがあります。タクシーであれば目的地まで乗せていってくれますから、とにかく行き先を言えればなんとかなりますね。

タクシーに乗ったら“司机”sījī(運転手)が
到哪儿?(どこまでですか)
Dào nǎr?
とか
去哪儿?(どこへ行きますか)
Qù nǎr?
と聞いてきますので、目的地を告げます。発音に自信がない時は紙に書いたものを一緒に見せるという手もあります。

タクシーのことは、規範的な言い方としては“出租汽车”chūzū qìchē、或いはそれを縮めた“出租车”chūzū chēですが、“的士”díshìという香港あたりで使われていた英語のtaxiの音訳語が大陸でも使われるようになりました。台湾では“计程车”jìchéngchē(繁体字表記は“計程車”)と言います。

また規範的な言い方では「タクシーに乗る」は“坐出租汽车”zuò chūzū qìchēと言いますが、“打的”dǎdīという言い方も近年よく聞かれます。さしずめ「タクシーする」といったような感じの言い方です。

街で流しのタクシーをつかまえることができますが、もしホテルなどでタクシーを呼んで欲しいときは以下のように言います。
请帮我叫一辆出租车。 (タクシーを1台呼んでください)
Qǐng bāng wǒ jiào yí liàng chūzūchē.
郊外の観光地などに行きたくて、タクシーを1日ないしは半日チャーターしたい時は次のように言います。
我要包车。 (車をチャーターしたい)
Wǒ yào bāo chē.
“包”は貸し切りにするという意味です。チャーターする時には、事前によく料金について確認しておいてください。

ただこれは中国に限らずある現象ですが、こちらが旅行者で地理に疎いと知るとわざと遠回りをしたりするタクシーもいたりしますし、空港や駅で盛んに客引きをしている所謂「白タク」もいます。こういう白タクのことを中国語で“黑车”hēichēと言います。空港や駅では客引きは相手にせず、“出租车等候区”chūzūchē děnghòu qū(タクシー乗り場)で乗りましょう。

“正规出租车”zhèngguī chūzūchē(正規の営業許可を持ったタクシー)であれば、“计价器”jìjiàqì(メーター)がある他に、車内に運転手の“姓名”xìngmíng(名前)や“车号”chē hào(車両番号)等を書いた“运营证”yùnyíngzhèng(運送営業許可証)を表示しています。“监督电话”jiāndū diànhuà“投诉电话”tóusù diànhuàと呼ばれる苦情受け付け電話番号を表示していることもあります。

ちゃんとしたタクシーなら何も言わなくてもメーターから印字される領収書を渡してくれるはずですが、もしくれなければ、万が一忘れ物をしたときなどのためにも、降りる際には必ず“发票”fāpiào(領収書)をもらうようにした方がよいでしょう。

こう書いてくると、中国でタクシーに乗るのはちょっと……と思われるかもしれませんが、以上は万が一をつい心配してしまう私の性格から出たもので、中国のタクシー料金は日本に比べれば随分安いですかから、うまく使えば旅の足として便利ですよ。
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第20回補足:バス・地下鉄・電車

第20回はバスに乗るシーンでした。ということで、中国の公共交通の手段について紹介します。
公共汽车(路線バス)
gōnggòngqìchē
これが規範的な言い方で、私が学生の時の教材はもっぱらこの単語でしたが、中国大陸では最近
“公交车”gōngjiāochē
という言い方がよく聞かれます。
台湾では“公共汽车”を省略した形として“公车”gōngchē(繁体字表記は“公車”)という言い方があるそうですが、この“公车”は中国大陸では「公用車」という意味になります。
香港では英語のbusからの音訳語の“巴士”bāshìという言い方がありますが、これも大陸で使われるようになってきています。

“无人售票”wú rén shòu piào(切符を売る人がいない)ワンマンカーも増えていますが、まだ“售票员”shòupiàoyuán(切符を売る人、車掌)が乗っているバスもあります。
バスの行き先表示を見てもよくわからないことがありますが、そんな時は乗る前に車掌さんに
到××吗?(××へ行きますか)
Dào ×× ma?
と聞きばよいでしょう。××の所には行きたい場所やバス停の名前を入れます。

なおバス停のことは“车站”chēzhànと言いますが、“车站”には駅という意味もあります。特に「駅」の方をはっきりと指したければ“火车站”huǒchēzhànと言います。

日本では大概のバスに次ぎのバス停を案内するテープ放送が入りますが、中国では今のところまだ全てのバスがそうというわけではないようです。バスの車掌のアナウンスを少し紹介しましょう。
下一站是××路。有没有要下车的?
Xià yí zhàn shì ×× lù. Yǒu méi yǒu xiàchē de?
(次のバス停は××路です。降りる人はいますか)
郊外の路線など人の乗り降りが比較的少ないところだと、乗客から返事がないとバス停を飛ばしてしまうことがあります。
バスを降りたい時は
我要下车。(降りたいです)
Wǒ yào xiàchē.
と言います。

現在上海など中国の大都市では“公交卡”gōngjiāokǎ(公共交通カード)と呼ばれる“车费”chēfèi(乗車料金)を支払うためのICカードがあります。現金をカードに“充值”chōngzhí(チャージ)しておいて、“刷卡”shuākǎ(カードで払う)だけですから、
“售票员”“没票,买票!”Méi piào, mǎi piào.(切符を持ってなければ、切符を買って!)と呼ばわる光景もそのうちなくなるのでしょうね。

路線バスはやはりある程度中国語ができないと使いこなすのは難しいと思います。また都市部では年々交通渋滞が激しくなっており、バスが渋滞に巻き込まれるとたいへんです。その点、北京や上海など大都会にしかないのですが、“地铁”dìtiě(地下鉄)は便利です。
なお、地下鉄の駅のことは“地铁站”dìtiězhànと言います。

さて最後は電車です。電車という日本語の訳は案外難しいのです。そのものずばり“电车”diànchēという単語もありますが、“电车”には「トロリーバス」(車体はバス、エンジンではなく架線から電気をとって走る車両)という意味があります。但し日本で暮らしている中国の方は日本語と同じ意味で“电车”を使いますが。

では電車の訳語として“火车” huǒchē(列車)はどうでしょうか?
中国で“火车”と言えば、長距離移動の手段、出張や旅行、帰省の際に乗る交通機関というイメージです。“坐火车出差”zuò huǒchē chūchāi(列車に乗って出張する)という表現には違和感はありませんが、“我坐火车上班。”Wǒ zuò huǒchē shàngbān.(私は列車に乗って出勤します)と言うと中国の方にちょっとぎょっとされるかもしれません。

通勤に使う電車、つまり都市の近郊から都市中心部へ向かう電車のことは何というかと言うと、“城铁”chéngtiěと言ったり“轻轨”qīngguǐと言ったりするようです。こういう言葉の使い方は私が学生時代には聞いたことがありませんでした。中国の都市化とそれに伴う新しい公共交通手段の出現を反映した言葉と言えるでしょう。
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第19回補足:「〜しまちがえました」の言い方

第19回のテーマは「勘違い」でした。課文の中には出てきていませんでしたので、「〜しまちがえました」の言い方を紹介します。

間違い電話をしたときは、
对不起,我打错了。(すみません、かけ間違えました)
Duìbuqǐ, wǒ dǎcuò le.

人違いをしたときは、
对不起,我认错人了。(すみません、人違いしました)
Duìbuqǐ, wǒ rèncuò rén le.
“认”は人や文字、場所などの特徴を知っていて見分けることができるということです。

道を間違えた時には、
我走错路了。(道を間違えました)
Wǒ zǒucuò lù le.

列車やバスを乗り間違えた時には、
我坐错车了。(乗り間違えました)
Wǒ zuòcuò chē le.

以上の例からわかるように、“错”は「まちがっている」という意味で、動詞+“错”で「〜しまちがる」という言い方ができるのです。
もう少し例を挙げておきましょう。
写错了(書き間違えた)
xiěcuò le
填错了(書き間違えた)
tiáncuò le
#書類を記入しまちがえた時に使います。“填”は空欄を埋めるという意味です。
听错了(聞き間違えた)
tīngcuò le
说错了(言い間違えた)
shuōcuò le

この「〜しまちがえた」という表現を紹介する時に、私がいつも思い出す言葉があります。
不要怕说错,大胆说!
Búyào pà shuōcuò, dàdǎn shuō!
(言い間違うことを怖がってはいけない。大胆に話しなさい!)

これは私が大学3年生の時に中国語会話を担当してくださった張成銘先生が、私たちに常に言い続けてくれた言葉です。当時の私は中国語の筆記試験ではそれなりの成績が取れても、会話能力が低いという学生でした。張成銘先生はこう言って私たちを励ますだけでなく、私たちの話す拙い中国語を辛抱強く聞いてくださいました。また中国語が拙いからと言って、私たちを子供扱いするのではなく、大学生として扱い、私たちの中国語のレベルでもわかるようにかみ砕いて中国語で中国や中国文化に関する知的な話をしてくださいました。
中国語教員としての私は張成銘先生に遙かに及びませんが、私が学んできた中国語を少しでも皆さんに伝えられたらと思います。
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第18回補足:困った時に

第18回は押し売りを断るというテーマでしたが、場面としては観光地でしつこくよってくるお土産売りの人を想定しています。

中国をはじめとして外国へ行ったからと言って、必ず嫌な目や困った目に遭うわけではありません。かと言って嫌な目や困った目に絶対遭わないと言うこともできません。それは日本で暮らしていても同じことだと思いますが、ただ外国にいる場合は日本にいる時よりも慎重に行動した方がいいことは確かです。それは現地で生まれ育っている人に比べれば危機管理能力が劣るからです。

2007年度に配信しているポッドキャスト教材ではそういう困っているシーンというのはほとんど取り上げていませんが、2006年度に配信したポッドキャストでは困った時に役立ちそうな表現をいくつか取り上げていますので、参考にしていただければと思います。
大阪府立大学中国語講座——憶えておきたい100の表現
この教材の16番から29番がそうです。このような表現を使うことが一生無いことを私は祈っていますが、万が一の時のためのお守りとして紹介しました。

iTunesをインストール済みの方は、以下のリンクをクリックすると2006年度配信のポッドキャストを登録するための画面が開きます(画面が開くまでに少し時間がかかることがあります)。
大阪府立大学中国語講座——憶えておきたい100の表現」をiTunesに登録する
2006年度のポッドキャスト教材やその受信の仕方など詳しくは
大阪府立大学初修外国語Podcastホームページ
をご覧下さい。
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第17回補足:写真に関する言葉

第17回はカメラのシャッターを押してもらうシーンでしたので、写真に関する言葉を紹介しましょう。

照片zhàopiàn(写真)
一张照片yì zhāng zhàopiàn(1枚の写真)

照相zhàoxiàng(写真を撮る)
拍照片pāi zhàopiàn(写真を撮る)

照相机zhàoxiàngjī(カメラ)
略して“相机”xiàngjīという方が普通です。

また旅の記念にビデオを撮影する方もおられるでしょう。ビデオカメラは“摄像机”shèxiàngjī、あるいは“摄影机”shèyǐngjīと言います。ビデオデッキの方は“录像机”lùxiàngjīです。

以前ならこういった時には“胶卷儿”jiāojuǎnr(フィルム)や“洗胶卷儿”xǐ jiāojuǎnr(フィルムを現像する)、“洗印”xǐyìn(現像と焼き付け)“加印”jiāyìn(焼き増し)といった単語を教材に出したでしょうが、今は“数码相机”shùmǎ xiàngjī(デジタルカメラ)の時代ですね。

ところで、中国語には日本語と同じ“写真”xiězhēnと書く単語もあるのですが、ちょっと意味が違います。元々は肖像画を描く、肖像画、写実といったような意味でした。近年では日本語と同じ写真という意味でも使われるようにもなったのですが、写真は写真でも個人の写真、それも特にヌード写真を指します。“写真集”xiězhēnjíという言葉も見られますが、芸能人などの写真集を指します。どうやらこの“写真”“写真集”の用法は日本語の影響を受けたもののようです。
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第16回補足:映画、テレビに関する言葉

第16回はチケットを買うシーンでした。映画のチケットとは限定していない会話ですが、前の回が映画を見に行きましょうで終わっていましたので、今回の補足では映画に関する言葉と、映画と並んで映像によるエンターテイメントの代表であるテレビに関する語彙も紹介しましょう。

电影diànyǐng(映画)
一部电影yí bù diànyǐng(1本の映画)

看电影kàn diànyǐng(映画を見る)
拍电影pāi diànyǐng(映画を撮る)
放电影fàng diànyǐng(映画を上映する)

导演dǎoyǎn(監督)
演员yǎnyuán(俳優)
男演员nán yǎnyuán(男優)
女演员nǚ yǎnyuán(女優)
明星míngxīng(スター)
主角zhǔjué(主役)
zhǔjuéが辞書的には正しい発音なのですが、zhǔjiǎoと発音する中国の人もけっこういるようです。
演主角yǎn zhǔjué(主役を演じる)

电影院diànyǐngyuàn(映画館)
#中国の映画館は基本的に座席指定です。中には入ると、
对号入座(座席番号どおりにお座り下さい)
duì hào rù zuò
という表示があったりします。
入り口が2つに分かれていて
单号dānhào(奇数番号)
双号shuānghào(偶数番号)
と書いてあれば、座席番号が奇数か偶数かで入り口が違うということになります。

电视diànshì(テレビ)
电视台diànshìtái(テレビ局)
频道píndào(チャンネル)
电视节目diànshì jiémù(テレビ番組)
#中国では方言の差が大きく“普通话”pǔtōnghuà(共通語)の普及の必要があるためか、テレビ番組ではよく字幕が入りますので、中国語の勉強に役立ちます。

中央电视台视听在线频道
#中国の中央テレビ局のインターネット放送ですが、つながりにくいことが多いので気長に待ってください。

主持人zhǔchírén(司会者)
播音员bōyīnyuán(アナウンサー)
新闻xīnwén(ニュース)
#新聞のことは“报”bàoと言います。

连续剧liánxùjù(連続ドラマ)
#日本のように毎週1回決まった曜日、決まった時間に放映されるのではなく、週に何回か異なった時間にバラバラと放映されていきます。
#ドラマの回数は“第一集”dì yī jí(第1回)のように数えます。ドラマのタイトルの後ろに“三十集”とついていれば、30回の連続ドラマということになります。
#外国製の連続ドラマも放映されています。外国製の連続ドラマのことは国の名前を1文字とって“日剧”Rì jù(日本の連続ドラマ)、“韩剧”Hán jù(韓国の連続ドラマ)と言ったりします。

你喜欢在电影院看电影,还是喜欢在家看电视呢?
Nǐ xǐhuan zài diànyǐngyuàn kàn diànyǐng, háishi xǐhuan zài jiā kàn diànshì ne?
(あなたは映画館で映画を見るのが好きですか、それとも家でテレビを見るのが好きですか)
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中国語の機械翻訳サービス

ポッドキャストで配信しているプリントには、全ての回ではありませんが、参考Webページへのリンクを作ってあります。リンクのところにカーソルを持って行くと、カーソルが指の形に変わります。クリックすると注意表示が出ますが「許可」をクリックするとそのWebページにジャンプできます。

さてリンクで飛んだ先は中国語で書かれています。「まだ中国語は初級レベルだから、難しくて読めないなあ。」と思っていらっしゃる方のために、中国語を日本語に無料で翻訳してくれるWebページを紹介します。

もちろんこれら人間が翻訳してくれるのではありません。ソフトウェアが翻訳する機械翻訳です。したがって間違いや珍妙な翻訳も多々あります。こういったソフトウェアを使った機械翻訳の技術は進歩していますが、まだ人間の翻訳にはかないません。ましてやこれらのサービスは無料で提供されているものです。その辺は割り切って、参考程度にお使いください。そして勉強を続けて、いつの日か自分で全部読解できるようになりますように!

エキサイト翻訳

Yahoo!翻訳

Infoseekマルチ翻訳

フレッシュアイ翻訳

上記のWebページはいずれもテキスト翻訳とWeb翻訳のサービスを提供しています。テキスト翻訳は中国語を直接入力、あるいはコピー&ペーストして入力します。Web翻訳はWebページの場所(URL)を入力して、Webページを丸ごと翻訳するサービスです。但し、いずれもあまり長いと翻訳できません。

エキサイトは高電社が、Yahoo!とInfoseekはクロスランゲージが、フレッシュアイは東芝が翻訳技術を提供しています。同じ文章でも翻訳技術を提供している会社が違うと違う結果になりますので、比べてみるのもおもしろいかもしれません。
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第15回補足:天気に関する言葉

第15回では“天气预报”tiānqì yùbào(天気予報)の話が出てきましたので、天気に関する言葉をいくつか紹介しておきます。

晴天qíngtiān(晴れ)
阴天yīntiān(くもり)

qíng(天気予報の用語としての「晴れ」)
多云duōyún(くもりがち、天気予報の用語としての「くもり」)

A转Bの形で天気の変化を言います。
(例)晴转云qíng zhuǎn yún(晴れのちくもり)
(例)雨转晴yǔ zhuǎn qíng(雨のち晴れ)

下雨xiàyǔ(雨が降る)
下雪xiàxuě(雪が降る)
刮风guāfēng(風が吹く)
打雷dǎléi(雷が鳴る)

阵雨zhènyǔ(にわか雨)
暴雨bàoyǔ(豪雨)
大雨dàyǔ(大雨)
小雨xiǎoyǔ(小雨)
毛毛雨máomaoyǔ(霧雨)
日本の気象庁の「予報用語」の「降水」には雨の量に基づく言葉の定義がありますが、上記の訳語はそれを反映したものではなく、日常生活で使われるものです。

梅雨méiyǔ(梅雨)
“霉雨”とも書きます。中国は広大な国土を持つ国ですから、地方によって気候はたいへん異なります。梅雨があるのは中国の南方を代表する河川である“长江”Chángjiāng(長江、揚子江)の中下流域の一帯です。

台风táifēng(台風)
中国の天気予報では風の強さを“风级”fēngjíと呼ばれる等級を使って言うことがあります。それぞれの級に対する風速(m/s)は以下の通りです。
0级:0〜0.2
1级:0.3〜1.5
2级:1.6〜3.3
3级:3.4〜5.4
4级:5.5〜7.9
5级:8.0〜10.7
6级:10.8〜13.8
7级:13.9〜17.1
8级:17.2〜20.7
9级:20.8〜24.4
10级:24.5〜28.4
11级:28.5〜32.6
12级:32.7〜
風速で言われてもピンと来ませんが、日本の気象庁の定義によれば、最大風速17m/s以上が台風だそうです。とすると8级以上は台風クラスの風ということになりますね。

寒暖の言い方の代表的なものも挙げておきましょう。
暖和nuǎnhuo(暖かい)
(暑い)
凉快liángkuai(涼しい)
lěng(寒い)

第15回のプリントでは中国气象局のWebサイトを紹介しましたが、このWebサイトに入った時、文字化けしているかもしれません。これはWebサイトが文字コードを指定していないため、中国の簡体字を無理矢理日本語の文字コードで解釈して表示しているからです。
Webブラウザの表示メニューの「エンコード」から「簡体字中国語(GB2312)」を選べば、正しく表示されるはずです。
なお、香港や台湾のWebサイトに行った時に文字化けしていたら「繁体字中国語(Big5)」を選べば大概直ります。
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第14回補足:色のイメージ

第14回のプリントではいくつか代表的な色の言い方を書いておきましたが、色には様々なイメージがあります。例えば中国語の“黒色”hēisèには「悪、闇、裏」といったイメージがあります。
黑市hēishì(闇市場)
黑社会hēishèhuì(反社会的組織、マフィア)
黑心hēixīn(悪い考え、腹黒い)
これは日本語でも「黒幕」と言ったりするように共通するのではないかと思いますが、しかし全てが同じというわけではなく、言語や文化によって異なる色のイメージがあります。ごくおおざっぱですが、中国語の色のイメージをいくつか紹介しておきます。

红色hóngsè(赤)
おめでたいこと、喜び事の色です。
中国の伝統的な花嫁衣装の色は赤です。(旧正月)に家の入り口に貼る“春联”chūnliánも対になった赤い紙にめでたい言葉を書きます。
“红事”hóngshìは結婚式など喜び事を指します。

白色báisè(白)
白はお葬式など不幸の色を象徴する色です。
今ではブラックスーツで参列するのが普通ですが、中国の伝統的な喪服の色は生成りの白色でした。“白事”báishìはお葬式を指します。
今は気にしませんが、私が留学していた80年代の中国では西洋式の真っ白なウェディングドレスに抵抗を感じる年配の方もいたようです。なぜなら白はお葬式の色だからです。そのためか、“婚纱”hūnshā(ウェディングドレス)という看板をかかげた店のウィンドーには真っ白なウェディングドレスの横に同じデザインの赤やピンクのドレスが置いてありました。

“红白事”で冠婚葬祭という意味になります。

黄色huángsè(黄色)
“皇帝”huángdì(皇帝)を象徴する色です。中国の伝説上の帝王の一人はその名も“黄帝”Huángdìと言います。
また大地を象徴する色でもあります。中国文明をはぐくんだ大河“黄河”Huánghé“黄土高原”huángtǔ gāoyuánの中を流れていきます。

一方“黄色”には猥褻というイメージもあります。日本語では猥褻を象徴する色はピンクで、ピンク映画などという言葉があったりしますが、中国では“黄色录像”huángsè lùxiàng(ポルノビデオ)と言ったりします。“扫黄”sǎohuángと言えば、猥褻図画書籍の一掃キャンペーンのことです。
私は語源に詳しくありませんが、辞書などによれば英語のyellowの意味の影響を受けたものだと言われています。

绿色lǜsè(緑)
最近特によく聞かれるようになった色で、“环保”huánbǎo(環境保護)を象徴する色です。“绿色食品”lǜsè shípǐn(自然食品)など、環境に優しい、無公害、健康といった意味でいろんな名詞と結びついて使われるようになっています。日本語でも「緑」は自然や環境保護を象徴する色ですが、中国語の“绿色”lǜsèがどんな名詞とくっついた例があるか、中国国家环保总局绿色消费与中国环境标志などが参考になると思います。
【追記】
但し、男性に緑色の帽子を贈るのはタブーです。绿帽子lǜ màoziには寝取られ男という意味があるからです。帽子でなくても緑色の服飾品は避けた方が無難だと思います。
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第14回補足:サイズ・長さや重さの言い方

第14回は買い物でサイズ違いや色違いのものを出してもらう場面でした。関連する語彙を紹介しておきます。

尺寸chǐcun(サイズ)
尺码chǐmǎ(サイズ、特に靴や帽子などのサイズ)

胸围xiōngwéi(バスト)
腰围yāowéi(ウェスト)
臀围túnwéi(ヒップ)
三围sānwéi(スリーサイズ)

サイズと言えば長さの単位がつきものです。ここで中国の長さの単位も見ておきましょう。
中国の度量衡は“公制”市制”の2本立てになっています。製品の表示などは“公制”ですが、今でも伝統的な単位である“市制”が市民生活でよく使われています。

公制gōngzhì
厘米límǐ(センチメートル)
公分gōngfēn(センチメートル)
(メートル)
公尺gōngchǐ(メートル)
公里gōnglǐ(キロメートル)

市制shìzhì
cùn(約3.3センチ)
chǐ(3分の1メートル、約33センチ)
(500メートル)

ついでに重さの単位も見ておきましょう。
公制
(グラム)
公斤gōngjīn(キログラム)
dūn(トン)

市制
liǎng(50グラムに相当)
jīn(500グラムに相当)

中国では野菜や果物は量り売りにすることが多いです。その時の基準になる重さの単位が“斤”であるか“公斤”であるかでは大違いです。私が見る限り、野菜や果物の量り売りでは伝統的な単位である“斤”(500グラム)が基準の単位になっていることが多いようです。
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