機構長教育奨励賞

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機構長教育奨励賞(平成20年度後期)

総合教育研究機構では部内FD活動の一環として、機構開設科目を担当するすべての教員の中から特に優れた授業を実践している教員を表彰する「機構長教育奨励賞」を創設しました。部内FD委員会では、授業アンケートの結果を基礎資料として、教養、健康・スポーツ、資格、英語、初修外国語、情報、数学、理科の各科目群において、その上位者を候補者として総合教育研究機構長および機構統括へ報告いたしました。その報告とアンケート結果を基に、機構長並びに機構統括による総合的な審議がなされた結果、平成20年度後期受賞者として以下の8名の先生方が決まり、授賞式が平成21年3月26日に行われました。

教養:吉井 泉先生(総合教育研究機構)、資格:吉田敦彦先生(人間社会学部)、健康・スポーツ:濱口雅行先生(総合教育研究機構)
英語:稲垣スーチン先生(総合教育研究機構)、初修外国語:車 美愛先生(総合教育研究機構)
情報:真嶋由貴恵先生(総合教育研究機構)専門基礎(数学):川添 充先生(総合教育研究機構)
専門基礎(理科):柳 日馨先生(理学部)、松原 浩先生(理学部)

受賞者のコメント

  • 吉井泉先生(総合教育研究機構)
    私が担当する講義「行動と視機能」では、「学生に学びを実感させる」ことを目標にし、次の3つの柱で展開しています。
    ①「なぜ学ぶのか?」(知的好奇心の喚起)
    冒頭部分で「前回のショートレポートの紹介と解説」を行います。前回の復習、自分自身の到達度の確認、本日の授業への導入がねらいです。
    ②「何を、どう学ぶのか?」(知的好奇心の充足)
    授業では、研究データや実践報告を中心に、図表やDVDなどを使い、その解説を交えながら進めています。また視機能の測定やトレーニング方法などを体験、実践するような実習も取り入れています。
    ③「学びをどう生かすのか?」(学習の整理)
    最後に、毎回「ショートレポート(A6サイズ)」を作成してもらいます。その中で、授業の習得度を確認するとともに、日常行動場面へ活用や家族や将来の自分の子どもに対する適用などについて書いてもらいます。このレポートを毎回整理し、次週の①で紹介しています。
  • 濱口雅行先生(総合教育研究機構)
    「健康・スポーツ学演習Ⅰ」では、受講生の大半が一回生ということで、受験により長期間の運動不足を余儀なくされています。その為、授業の初期段階では、受講生は呼吸負荷の増大や筋収縮の対応速度の低下など、自身の生理的な変化を実感することになります。そこで、受講生に受講期間中、定期的に運動生理学的な指標となる呼吸数や触診による脈拍測定を行わせ、身体活動への適応力や体力の向上を体感させています。さらに、スポーツ科学の基礎的な知見が、運動処方・療法に重要な意味を持つことを講義し、より理解を深めさせるよう心掛けています。
    また、これまでの学校体育における身体教育と比べ、各種ゲームの進め方やチーム編成など、授業の展開には高い自由度を持たせ、自主性や積極性が培われるよう善導しています。このことにより、普段は関わりの少ない他学部・他学科の学生間に豊富なコミュニケーションが生まれ、社会への適応力向上に繋がったことが、満足度を高めたのだと想像されます。
  • 稲垣スーチン先生(総合教育研究機構)
    私が授業を行う上で最も重視していることは学生が「英語を使い、英語で考える」という発信型・参加型の授業の実践です。映画を使って授業をしています。映画は映像を通じてことばのもつ意味、使われる状況を知ることができる非常に有効な教材であり、学生が楽しみながら英語に触れ、日常的な英語表現を身につけることができます。学生が役に立つ英語表現を自然に自分の会話の中で使えるようになるように、たくさんの聞き取りやアフレコ、パフォマース等の活動を授業に入れます。また、英語多読(extensive reading)も授業に取り入れています。やさしい英語をたくさん読むことにより、「日本語を介入させずに英文を直接理解する」という状態に近づくことができます。この二つの活動を柱に、英語を英語のまま理解する、つまり「英語で考える力」と「英語を使う力」を学生に身につけさせたいと思い、日々実践に励んでおります。
  • 車 美愛(総合教育研究機構)
    授業では、特別なことではなく、極一般的な・基本的なことに中心をおいています。
    90分の授業を大きく6段階に分け、①小テスト(予習問題)、②復習、③今日の授業内容、目標(本論)、④授業の中で実際使ってみる(『話す、聞く、読む、書く』を常に意識させる)、⑤今日のまとめ、⑥次回の小テストのように進めています。学習理解度、コミュニケーション能力、チームワーク、協調性、異文化理解などを養いながら、新しい知識を得る楽しさを発見することに重点を置いています。また、オフィスアワーを利用する学生が多いので、質問に丁寧に答えるようにしています。
  • 柳 日馨先生(理学部)、松原 浩先生(理学部)
    化学1(有機化学)は1年生の最初の化学の授業ですのでいくつか心掛けていることがあります。まず化学の勉強は何をするために行うのかという問いかけをしています。近い将来、研究で未知のフロンティアに挑むためこそ学ぶ必要があり、試験をクリアーするために学ぶのではないことを強調しています。遺伝子やタンパク質やそれを構成するアミノ酸すべてが有機化合物である事実にふれ、生命現象と有機化学の関わりにふれています。有機化合物の構造を理解するために軌道の概念を、有機反応を理解するために自由エネルギーの概念をそれぞれつかめるようにわかりやすい授業になるよう努力しています。医薬品になっているタクソールの合成を例に、有機合成がいかに多くの反応の集積でなされるのかということを学びます。前半では独自のテキストを用い、上級の有機化学の授業へとスムーズな橋渡しが出来るよう心掛けています。
    後半では、次年次以降も使うテキストを用いて有機化学の基礎的な概念の習得を目指します。特に力を入れているのは、有機化学の「言葉」である構造式の読み書き、および簡単な有機物の命名法をマスターしてもらうという点です。構造式を自由に使いこなせないと有機化学を学ぶ上で大きな支障を生じますので、その習得はたいへん重要です。講義では、高校で学んだ点電子式の復習から入り、その書き方を丁寧に指導します。点電子式を確実に書くことができれば、ケクレ構造や簡略した構造式へと容易に展開できます。また、構造式が正しく書けるようになるには、形式電荷や共鳴の概念を理解することが併せて必要です。点電子式からケクレ構造へと時間をかけて説明することで、これらの概念を確実に把握できるよう工夫しています。一方で、有機物の命名法は講義に加えて演習によって習得するのが早道です。そこで、ここでは演習を多用して理解を深めています。
  • 川添 充(総合教育研究機構)
    他の方々の実践例を聞いては自分の授業に取り込みながら、毎年少しずつ改善に取り組んでいます。どうしたら授業に集中させられるか、授業時間外学習を増やせるか、各回の内容の理解度をどのようにして把握するかを考えながら、常に試行錯誤していますが、ここ数年の授業形態は、学生は全員座席指定、各回の講義は、小テスト→授業→課題(Web学習含む)→次回小テストで課題の理解度確認、という流れで構成、という形に落ち着いています。授業中は、重要な点は言い方を変えながら繰り返し述べるようにし、演習時には学生の間を回りながらノートを覗き込んで話しかけ、どこでつまづいているか把握するよう努めています。担当している初年次の数学科目は基礎的な数学の力を身につけることが主眼の科目ですが、授業期間内に何をできるようにするかということに加えて、大学卒業後にも残る能力として何を培えるかという視点も大切にしていきたいと考えています。
  • 真嶋由貴恵先生(総合教育研究機構)
    私の授業の構成は,設定された授業目標に対して,終了時の学生自身の目標を設定させるところから始まります.さらに,各回の授業でもその回の授業目標を設定し,学生と共通認識を持って進めます.講義をするときには,学生の理解を深め,創造性を養うためにいろいろな小道具(教材)を使用します.「コンピュータとネットワーク」では,講義内容に関係する最新ニュースや製品の紹介,クリッカーによるクイズ,うなづき理論を用いた「ペコッパ」,「看護eラーニング教材」などです.また,学生の学習を推進するために,授業での知識を定着させるための復習テストの予告と実施,考えを整理し記述する「レポート」課題,発表技術を磨く毎回順番の「関連ニュースの発表」,チームワーク,コミュニケーション,問題発見,問題解決能力を養うための「グループワークおよびプレゼンテーション」,知識の確認のための「期末テスト」を実施しました.最後には受講学生に授業独自のアンケートを実施し授業目標の達成度は自己評価させます.それらを総合的に評価し,次回の授業計画に反映させています。

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