next up previous contents
Next: 文字を送る FAX Up: 符号理論の考え方 〜 基礎編 Previous: 符号理論の考え方 〜 基礎編

電話で伝言

ある日曜日の夕方、同じ学科に所属する某先生の奥さんから電話が掛ってきた. なんでもご主人が急に胃潰瘍で入院することになったらしく、『研究室の部屋の前に学生宛の伝言を貼って欲しいと川添氏に頼んで欲しい』とご主人から頼まれたということだった. 私はメモ用紙とペンを用意し, 電話の向こうでは先生の奥さんがご主人の書かれたメモを見ながら, 少しずつ読み上げる. 多少の聞き取り難さを脳内で適切に処理しながらメモを取り終え, 翌日清書(ワープロに打ち込んで印刷)して, 無事指定の場所に張り紙することができた.

ここで行われたと同じような原理で「誤り訂正を用いた情報通信」も行われている. すなわち,

1.
入院された先生の書かれたメモの文章(元の情報)を
2.
奥さんが少しずつ読み上げ(日本語という語彙と文法で符号化されたブロックをブロック毎に送信),
3.
こちらでは私が聞き取り難かった言葉(通信中に生じたエラー)を
4.
脳内で適切に処理(誤り訂正)してメモをとる(復号).
ということを行うのが, 誤り訂正符号を用いた情報通信の原理なのである[*].



Mitsuru Kawazoe
2001-11-14