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符号理論の考え方 $\sim$ 入門編

たとえば, 今携帯電話で話をしていたとする. ところが相手は電波状態の悪いところにいるらしく, ノイズがひどくて声が途切れがち.

あるいは, たとえば, 物置の隅から昔の本が出てきた. ところどころ虫に食われていて, 字が欠けている.

でもこんなときでも, なんとか文章の意味が掴めるはずだ. いわゆる「文脈から判断して」というやつだ. 日本語の単語や文法の知識に照らし合わせれば, 一文字や二文字欠けていたくらい, 難なく回復できることが多い. 情報通信における符号理論も原理的には同じものだと考えればよい. 簡単に言えば, 生のデータをコードと呼ばれる「文法=構造」をもった形式に変換するのだ(当然のことだが, 変換後のデータは元のデータより長くなる). そうしておくと, ノイズが入った時は, その構造からはみ出してしまうから, ノイズを検出できる, という理屈である. (ただこの理屈をそれなりの実用性とともに実現するのが大変なのだが.)



Mitsuru Kawazoe
2001-11-14