高等教育推進機構とは

高等教育推進機構とは 

  • 学域制の導入

大阪府立大学では、平成24年度から学域制を導入しています。皆さんは、学部ではなく、現代システム科学域、工学域、生命環境科学域、地域保健学域という4つの学域のどれかに所属されています。学域はこれまでの専門性の壁を低くし、学部・学科を大括りにして、皆さんがより幅広く学ぶことができるように意図して構成されたものです。

急速な少子高齢化、グローバル化という問題に直面している我が国において、社会が大学に求めるものも大きく変わってきています。専門性とともに、幅広い知識やコミュニケーション能力、英語の運用能力といった汎用的なスキルなどがいっそう求められます。このような状況のもとで、大阪府立大学では、学士課程で最低限身につけて欲しい能力として「学修成果目標」を以下のように定めています。

≪大阪府立大学学士課程が目指す学修成果≫

学士課程教育を通して、自律的な判断基準を形成し他者の意見を尊重しつつ自分の責任で判断と行動ができ、また、卒業後も生涯にわたって学び成長できる学生を養成します。

この目標を達成するために、全ての学生が(知識)(技能)(判断・行動)の領域で下記の具体的な学修成果をあげることを目指します。

(知識)

  • 人間と文化、科学と技術、社会と歴史、環境と健康についての理解を深め、利用できる。
  • それぞれの専門領域における知識と技術を体系的に学び、応用できる。

(技能)

  • 日本語で論理的な文章を読み、書くことができ、説得力のある議論ができる。
  • 英語で読み、書くことができ、他者と意思疎通できる。
  • 物事を客観的・分析的に理解するための批判的思考を身に付ける。
  • インターネットなどを用いて収集した多様な情報を、量的・質的に分析して適正に判断できる。

(判断・行動)

  • 必要な情報を収集し論理的に分析したうえで、すでに獲得した知識・技能を総合的に活用し、問題を解決できる。
  • 自分で考え、良心と社会のルールにしたがって自分の責任で判断し行動できる。
  • 自ら学ぶ姿勢を身に付け、生涯にわたって進んで学習できる。

このような成果目標はいくつかの科目で単位を修得すれば達成されるものではなく、4年間の様々な講義、演習、ゼミ、卒業研究などを通して身につけてもらうものです。1年生が受ける講義は、高等教育推進機構が運営する共通教育の科目が中心となります。したがって初年次に学ぶ共通教育がこの学修成果目標を達成する基盤となります。

初年次教育の重要性

皆さんの中には、すでに大学で学ぼうとする専門分野を決めておられる方もいるでしょうし、色々な分野を学んでから決めたいと思っている方もおられると思います。いずれの場合でも、知的好奇心にあふれ、大学で学ぶということに期待と不安を感じていることでしょう。先に掲げた学修成果目標を達成するために、皆さんは、はじめにこれまでの学びとは違う「大学での学び」の姿勢(自ら能動的に学ぶ態度)を身につけることが重要です。大学での学びの転換を実際に体験する場として、高等教育推進機構では全学生に「初年次ゼミナール」という科目を提供しています。

知的好奇心にあふれる皆さんにとって、大学で提供されるたくさんの科目はどれも興味深いものでしょう。しかし、学びの態度を身につけるため、特に最初の学期においては、限られた科目をしっかりと勉強することを心がけてください。大学での1単位は、45時間の学修内容が基本です。詳しくは後述しますが、このことは、授業時間だけではなくその倍の授業時間外の学習時間が必要であることを意味しています。色々なことを学びたいと思う皆さんにははじめは理解しづらいかもしれませんが、受講できる単位数を制限する(CAP制)のはこのためです。

最初の学期に学びの態度を身につけることが有効であることを裏付けるデータもあります。1年生前期の成績が良いと1年後期から3年後期までの成績も良いという傾向がはっきり出ていますが、入学試験の成績と大学の成績にはそういった関係が全くありません。このことから、1年生の前期に大学での学びの姿勢を獲得できるかどうかが非常に重要だと我々は考えています。初年次ゼミナールで大学での学びの姿勢を身につけ、少ない科目をしっかりと学ぶことにより、授業時間外に自ら学習する習慣を身につけて下さい。 

  • 高等教育推進機構の役割

このように非常に重要な1年生(2年生)の全学共通教育(教養教育、基礎教育)の中心的な役割を担っているのが、高等教育推進機構です。それと同時に、大阪府立大学における教育の質の向上にむけた活動も行なっています。

  • 全学教育の充実

現代は、かつてないほど科学技術が発達し、情報の流通も進んだ結果、複雑で一つの専門分野では解決できないさまざまな困難な問題に直面する時代となっています。このような現代社会を生き抜くためには、専門的な知識や技術を修得するだけでなく、学修成果目標に掲げているように、総合的な生きる力を養う必要があります。

高等教育推進機構は、幅広い視野や適切な判断力を養う教養教育や資格教育、国際化・情報化社会に対応する能力を養う外国語教育や情報教育、基礎知識に支えられた応用能力を養う専門基礎教育を提供することによって、学域・学類の専門教育と連携し、学修成果目標を達成することを目指します。そのような目標を達成するために、すでに述べた初年次ゼミナールの導入の他に、高年次で履修する教養科目(教養展開科目)やCALL教室などの自学自習への活用、Webを利用した学習支援システム、数学質問受付室、情報基礎質問受付室、化学学習相談室の設置などにより、きめ細やかな教育ができるようなプログラムを実施します。

また、平成24年度からは外国語教育(英語・ドイツ語・フランス語・中国語・朝鮮語)をいっそう充実させています。25名程度の少人数の授業、全学レベルのTOEICテストの実施、Academic Englishの導入、2~4年次に受講できるEnglish Seminar(初修外国語も高年次に履修できます)、海外語学研修(英語・フランス語・韓国語)など、実践的な運用能力が修得できるように科目・プログラムが用意されています。

  • 教育の質の向上を目指して

大学では、「教育と研究」が大きな二本柱です。近年、研究の重要性に加え、大学における教育の重要性がよりいっそう高まりつつあります。高等教育推進機構に設けられた高等教育開発センターは、大学が教育により大きな力を注ぐことができるために活動します。

本学の教育の質の向上を進める活動としては、たとえば学生に対して授業アンケートを実施し、学生の多様なニーズを汲み上げて教育に反映させる方策をとります。また、教員の講習・研修活動や教員相互の授業参観などを通じ、教育内容・方法の改善を目指すFD(ファカルティ・ディベロプメント)活動を行ない、国内外の大学でのFD活動との連携・交流を通じて、その活動を強化するとともに、新しい教育プログラムの開発なども行なっています。

また、最近では、教員主体の教育改善だけではなく、学生の視点を取り入れ、学生とともに教育の質の向上を目指す取り組みを始めています。こちらも詳しくは後述しますが、皆さんが自主的に学びを振り返るために用意しているポートフォリオ(学修記録)は、教員とのコミュニケーションを通じた授業改善や、履修指導にも生かされます。

大阪府立大学では、皆さんが卒業(修了)するときにどのような能力を身につけているべきかを最優先に考えていきます。そのために、「学生の主体的な学び」を教育の中心において教育を改善していきます。是非皆さんの大阪府立大学での学びを充実したものにしてください。