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大学院スタンダードプログラムへの挑戦

大学院スタンダードプログラムへの挑戦

大学院教育のミッションが、優れた科学者、エンジニア、高度専門職業人の養成にあるかぎり、大学院教育が高度に専門化し、カリキュラムが細分化することは避けられない。一方で、現代社会が大学院生に求める資質や能力は驚くほど多様である。すなわち、専門的知識、行動力、マネジメント能力、コミュニケーション力、公正さへの志向など、実に多岐にわたる。高度な専門的知識に特化しようとする教育カリキュラムの中で、現代社会が求める多様な能力を備えた大学院生を養成するために構築されたのが、この大学院スタンダードプログラム(大学院共通教育科目)である。

大学院スタンダードとは、細分化した高度な知を根源的に統合し、社会システムの発する軋みに耳を澄ませ、システムの患部に適切な方法で介入し、社会システムの治癒を目指すために必要な知識と技量を標準化した教育プログラムであり、これを履修し修了した人材が地球規模でグローバルに連携するために必要な世界標準を目指すものである。

ここに紹介するプログラムは、旧弊の知識とその応用パターンでは解決不可能な、現代社会が直面する未曽有の課題と向き合う能力を養成する目的で編成されている。学問の世界に必須のルールを徹底的に学ぶことからまずはスタートする。真に独創的な知性のみが、未来の地平を切り開くのならば、大学院スタンダードプログラムは、ルールを熟知したものだけが一瞬の判断によってルールの型をブレイクスルーする、その型破りな知性の養成をこそ最終の教育目標としているのだといってもよい。

ルールを知らないものに、ルールを超えることはできない。蓄積された知の型のその先に行くことを許されるのは、スタンダードを確実に身につけたものだけである。

大学院スタンダードプログラムへの挑戦を、大阪府立大学のすべての大学院生に勧めたいと思う。

高等教育推進機構 副機構長

山東 功